Archive for 11月, 2011

1.法人税と事業年度

①基本

  • 「事業年度」という用語は会社法において頻繁に使用されているが、定義は存在しない(但し会社計算規則59条において、計算書類等を作成する期間との関係で規定あり)
  • 法人税法に定義あり(13条)

 

(事業年度の意義)
法人税法第十三条
この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。(略)

 

②清算&特別清算

会社法施行前は、解散にも当然事業年度の取り扱いがなかった
→法人税法における「みなし事業年度」に関する規定が設けられていたのでこちらを適用していた

 

(みなし事業年度)
法人税法第十四条
次の各号に規定する法人((略))が当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなす。

一  内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をした場合 その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日までの期間
(略)

 

会社法施行後は、「清算事務年度」という1年にわたる期間が定義され、事業年度として適用されることとなった
→これが「法令で定めるもの」となり、解散の場合も法人税法第13条が適用されることとなった

 

(貸借対照表等の作成及び保存)
会社法第四百九十四条
清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。)に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
(略)

 

 

③破産

  • 破産法には事業年度の定めなし
  • 破産手続の決定により解散した場合
    →解散事由の発生により解散した当該事由発生の日をもって事業年度を区切る(法基通1-2-9)
  • 破産手続開始の決定により解散した場合には会社法上清算すべき場合から除外されている(会社法475条1号括弧書)
    →破産手続開始決定によっても「清算株式会社」とはならない
    →法人税法第十四条(みなし事業年度)の適用がある
  • このため、破産手続が終結しない限り、会社法494条1項(清算事務年度)の適用はない

 

(株式会社等が解散等をした場合における清算中の事業年度)
法人税法基本通達1-2-9 株式会社又は一般社団法人若しくは一般財団法人(以下1-2-9において「株式会社等」という。)が解散等(会社法第475条各号又は一般法人法第206条各号《清算の開始原因》に掲げる場合をいう。)をした場合における清算中の事業年度は、当該株式会社等が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項又は一般法人法第227条第1項《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるのであるから留意する。(平19年課法2-3「三」により追加、平20年課法2-5「三」により改正)

 

(清算の開始原因)
会社
法第四百七十五条
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。

一  解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由[合併]によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)

二  設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

三  株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

 

④会社更生法

  • 会社更生法に基づく更生手続開始の決定があったときは、清算と同様その時点から更生計画認可の時までを1事業年度として取り扱う。
  • 但し、1年を超える場合には1年ごとに区切る。

 

(法人税法等の特例)

会社更生法第二百三十二条
(略)
2  更生手続開始の決定があったときは、更生会社の事業年度は、その開始の時に終了し、これに続く事業年度は、更生計画認可の時(その時までに更生手続が終了したときは、その終了の日)に終了するものとする。ただし、法人税法第十三条第一項
ただし書及び地方税法第七十二条の十三第四項
の規定の適用を妨げない。

 

⑤民事再生法

  • 会社法上解散していない(あくまで会社としては通常通り生存している)
  • 民事再生法には事業年度の取り扱いがない
  • 法人税法上も事業年度に関する規定はない
    →事業年度は全く変動しない

 

⑥[問題]上記の複合形態について

以下の場合、事業年度の取り扱いはどうなるか。

(ケース1)
民事再生手続が開始したあと、再生計画が否決されたなどに基づき裁判官の職権で破産に移行した場合

(ケース2)
特別清算手続が開始したあと、否認権を行使すべき事象が発見され、破産に移行した場合

(ケース3)
解散後、清算結了前に株主総会の決議により継続した場合

ヒント:

  • 最初の手続の際の事業年度変更(清算事務年度適用)の有無に注意
  • 解散後継続の場合の関連条文

会社法第四百七十三条
株式会社は、第四百七十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第一項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後三年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。

法人税法第十四条一項 二十二号
清算中の内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において継続した場合 その事業年度開始の日から継続の日の前日までの期間及び継続の日からその事業年度終了の日までの期間

※ケース2、ケース3については比較的難しいので、条文に照らしてお考え頂きたいと思います。これが正しい!と思われる方、疑問をお持ちの方はお気軽に事務所WEBページの問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

2.消費税と基準期間

①基本

  • 基準期間における課税売上高によって、当期の消費税の扱いが変動する(届出などによる)
    -免税/課税事業者
    -簡易課税
  • 消費税法にも事業年度の単独定義は存在せず、法人税法の定義を参照している。

 

消費税法第2条
十三 事業年度 法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)第十三条 及び第十四条 (事業年度)に規定する事業年度(国、地方公共団体その他これらの条の規定の適用を受けない法人については、政令で定める一定の期間)をいう。
十四 基準期間 個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年((略))をいう

 

②1年に満たない事業年度がある場合(破産)

消費税法第2条
十四 基準期間 (略)法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう。

 

例:現時点において、3月決算の会社が2010年9月末に破産を申し立てた場合

  • 当事業年度 :2011年4月1日~2012年3月31日(A)
  • 前事業年度 :2010年10月1日~2011年3月31日(B)
  • 前々事業年度:2010年4月1日~2010年9月30日(C)←1年未満
  • 前々々事業年度:2009年4月1日~2010年3月31日(D)
  • 当事業年度の2年前の日の前日:2009年3月31日
  • 上記以後1年を経過する日:2010年4月1日

→当事業年度の基準期間は、(C)+(D)となる

3.青色欠損金の繰戻控除(特例)

(欠損金の繰戻しによる還付 抄)
第八十条
内国法人の青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合(第四項の規定に該当する場合を除く。)には、その内国法人は、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、当該欠損金額に係る事業年度の所得に対する法人税の額に、当該いずれかの事業年度(以下この条において「還付所得事業年度」という。)の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額(この条の規定により他の還付所得事業年度の所得に対する法人税の額につき還付を受ける金額の計算の基礎とするものを除く。第四項において同じ。)に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求することができる。

4 第一項及び第二項の規定は、内国法人につき解散、営業の全部の譲渡、…その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合において、

当該事実が生じた日前一年以内に終了したいずれかの事業年度
又は
同日の属する事業年度

において生じた欠損金額があるときについて準用する。

この場合において、第一項中「当該申告書の提出と同時に」とあるのは「当該事実が生じた日以後一年以内に」と、「請求することができる。」とあるのは「請求することができる。ただし、還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出している場合に限る。」と読み替えるものとする。

 

(欠損金の繰戻しによる還付をする場合の解散等に準ずる事実)
法人税法施行令第百五十四条の三
法第八十条第四項
(特定の事実が生じた場合の欠損金の繰戻しによる還付)に規定する政令で定める事実は、事業の全部の相当期間の休止又は重要部分の譲渡で、これらの事実が生じたことにより同項
に規定する欠損金額につき法第五十七条第一項
(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)の規定の適用を受けることが困難となると認められるもの及び再生手続開始の決定とする。

以上