Archive for 2月, 2013

1.財務会計データの非互換性

会計ソフトに代表される財務会計用ソフトウェアは、それぞれの開発会社が独自に定めた方法でデータを保存しており、当然ながらそれぞれの間に互換性(相互に利用できること)がありません。

このため、例えばある会計ソフトを長年利用してきた会社が、別のより使いやすい、廉価な会計ソフトに移行したいと考えたとしても、旧ソフトから新ソフトへのデータ移行は容易ではありませんでした。

また、同じ開発会社の会計ソフトと販売管理ソフトは連携の取れる場合が多いのですが、違う開発会社間の連携はごく稀なケースを除いては不可能でした。

そんな訳で、これまで財務会計用ソフトの世界は、データの非互換性が一種の「移動障壁」であったと言えます。

2.汎用データコンバータ

さて、平成17年8月、私どもの事務所は「汎用データコンバータ」を開発しました。
このコンバータは、ある会計ソフトウェアや販売管理ソフトウェアなど、決まった様式で多数の取引などの情報を持つデータ(ソースデータ)から、別のソフトウェアにおいて取扱が可能な様式へ、一度の簡単な設定後は自動的に変換を行うことができる、一種の「フィルタ」と呼ばれるアプリケーションです。

このコンバータを利用することで、お客様がどの会計ソフト(仕訳をCSVなどテキストデータの形で出力が出来るものに限ります)をご利用の場合でも、簡単な基礎データ収集と初期設定によって私どもの事務所で使用する会計ソフトの形式へのデータ変換が可能です。

3.汎用データコンバータでできること

では、この汎用データコンバータでどのような作業ができるでしょうか。 現在実際に行われている作業の一部をご紹介します。

1)会計ソフト移行

このコンバータが最も力を発揮するのがこの作業です。
ある会計事務所がAという会計ソフトを使っている場合、新規顧問先となった会社の経理部においてBという会計ソフトを採用している場合、いわゆる「自計化(顧問先にて基本的な記帳を行い、会計事務所が内容の確認を行う方式)」状態を続けるためには、従来は
①顧問先においてBをAに変更してもらう
②会計事務所でBを新たに購入し、受け入れをする
など、共通の会計ソフトをどちらかで購入する必要がありました。

しかし、汎用データコンバータを用いることで、顧問先は従来通りBで記帳し、そのデータを会計事務所のAに受入れ、チェックや決算、申告書作成を行うという業務の流れが可能になります。

2)販売管理などサブシステムとの連携

同じメーカーのソフトを使っている場合、販売管理ソフトなどサブシステムと会計ソフトは通常連携が取れるようになっています。

しかし、会計ソフトとサブシステムのメーカーが違うというケースは以外と多くあります。
その理由はいくつかありますが、例えば次のようなものです。
①会計ソフトと同メーカーの販売管理ソフトが営業形態に合わない
②会計ソフトは経理部、販売管理ソフトは営業部と別々に導入が行われた
このような場合も、汎用データコンバータは違うメーカー製のソフトウェア間の連携を取ることができます。例えば販売管理ソフトから販売データ、入金データなどをアプトプットし、これを会計ソフトの仕訳データに変換後会計ソフトで取り込むといった処理が可能となります。

4.会計事務所向け外販、及びコンバータ作成受託

上記の汎用データコンバータを改良し、外販、及びコンバータの作成を受託することが可能です。
具体的には、以下の通りとなります。

1)外販
当事務所にて5~7時間(会計知識、エクセル、VBAスキルに応じて異なります)の研修(コンポーザー研修)を受けた方を対象にコンバータシステムを販売します。
研修受講者(コンポーザー:コンバータを利用し、変換マトリックスを作成できるユーザー)が使用する限り、対象とする会計ソフト、使用回数に制限はありません。
また、研修受講者(コンポーザー)が作成したコンバータは、利用者(パフォーマー)によっても利用が可能です。なおこの形態における販売対象は原則として会計事務所に限定します。

2)コンバータ作成受託
お客様からコンバータに必要な情報を頂き、当事務所にてコンバータを作成します。 会計ソフトの種類にもよりますが、一般的なコンバータソフトより低価格にて作成が可能と考えています。

5.お問い合わせ

ご質問やお見積もりについては、メールフォームにてお気軽にお問い合わせください。

以上


1.はじめに

最近消費税については、増税(税率アップ)が決まったり、生活必需品などへの軽減税率の適用などの議論がなされています。 増税になると価格への転嫁を考える必要も出てきますし、営業への影響を懸念される方も多いと思います。
ですが、事業主の方にとって従来からもっと大事なことが見落とされている場合が多いですので、今回簡単にご説明&注意喚起しておきます。

2.仕入税額控除

日本の消費税は「税額控除方式」を採っています。
これは、売上にかかる消費税から、仕入や経費など支払にかかる消費税を差し引くことで納税すべき金額を差し引く方式です。

本来、預かった消費税である売上消費税から支払った消費税(消費税法上は「仕入税額」と言います)を当然差し引いて納税する消費税額を計算すべきなのですが、日本の消費税法にはちょっと問題な規定があります。それが、「帳簿等記載要件、請求書等保存要件(消費税法30条、末尾に条文抄を記載)」です。

この規定は「仕入税額を控除したかったら、仕入や経費の支払について
①相手先
②年月日
③仕入などした資産やサービスの内容
④支払対価を記載した帳簿
⑤請求書等
を保存しておかなければならない」というものです。 この要件、①~④の帳簿に関するものは「帳簿記載要件」、⑤の請求書等に関するものは「請求書等保存要件」と呼ばれます。

消費税導入当初はもう少し甘いものだったのですが、平成9年の改正(税率が3%→5%になった)際、同時に現在の厳しい内容へと改正されました。

3.税務調査時のリスク

小規模な事業者で「簡易課税(売上税の一定率を仕入税額控除額とみなす方式)」を採用できていれば当面問題はありませんが、給与支払が少なく外注費が多いなど、簡易課税が不利になる事業者の場合は売上が小規模であっても注意が必要です。

この規定、条文を見てもわかるとおり「災害その他やむを得ない理由」を除いて宥恕規定(一定の事情があれば要件を満たしていない場合も認めてもらえる)が定められていません。調査の過程で仕入先に関して上の要件の一つでも満たしていなければ、「その取引に関する仕入税額控除は否認」と言えてしまうわけです。

実際に、この論点で消費税の仕入税額控除を否認しようとする調査官も最近はぽつぽつとあらわれています。 現在でも仕入税額控除が認められなければ税負担が上がりますが、今後増税になると、その影響も税率に比例して大きくなります。

4.対応

上で説明しました帳簿記載要件を満たすためには、青色申告(きちんと帳簿を作成する代わりに、様々な税務上の有利な制度が認められます。青色申告でないものを白色申告と言います)で作成すべきものと同レベルの、きちんとした帳簿を作成する必要があります。
また平成26年度からは全ての白色申告者についても帳簿作成が義務化されますし、先に述べました簡易課税についても、廃止または適用事業規模の縮小が議論されています。

ご自分で、もしくは税理士に頼んでなどどのような方法でも良いですが、まだきちんと整備ができていない事業主がおられましたら、青色申告、白色申告に関係なく請求書等の保存と帳簿の整備をお勧め致します。

以上

(仕入れに係る消費税額の控除)
消費税法 第三十条
(略)
7  第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
8  前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。
一  課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行つた年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額
(略)
9  第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。
(略)


新聞などで、追徴課税のニュースが出る際に「見解の相違」という言葉が良く出てくると思います。 この「見解の相違」とは何でしょうか?

税法はもちろん法律ですので、相当細かい検討を重ねて精緻に作られています。またその上、税務の世界には「通達」という、法律ではないものの法律に近い拘束力を事実上持っている決まりがあります。 しかし、それだけ細かい内容が決められていても、その運用方法や趣旨の認識には少し幅があります。 また、税法というのは基本的に「何かの事実が発生した場合」に「どのような課税を適用するか」について定めた法律です。ですから、その「何かの事実」について納税者側と国税側に認識の相違があった場合、課税の前提となる事実認識のから争いが起こることになます。

しかし、通常は調査する側である国税側の方が、調査を受ける側の方がやはり立場が弱いものですから、そのような「見解の相違」があれば、どうしても調査を受ける側が引いてしまう場合が多いようです。これがいわゆる「見解の相違」が「調査の結論」と言われる所以です。

まあいくら納税者側が口頭で正当性を主張しても、その話を調査官がそのまま税務署へ持ち帰る訳にはいきません。 彼らとて公務員ですから、自らが法令の判断を明らかに誤っているのでない限り、納税者側の認識を補強する筋合いはありませんし、あまり納税者側をかばうようなそぶりを見せていては、自分の立場すら危うくするかもしれないのです。

 

さて、このような事象が発生した場合、納税者側の税理士としてはどのように行動すべきでしょうか。

有効な方法の一つは、「文書を提出すること」です。 この文書は、税法などが定める正式な文書ではありませんが、納税者側の主張や事実認定に関する項目を論理的に、かつ税法などの法令に基づいて説明するものです。

調査官に対してこのような文書を提出することで、納税者側の主張が認められる可能性は高くなります。
私は、これまで文書提出を得意分野の一つとしてきました。

十分に効果を発揮する文書を作成するためには、単に文章がうまいだけでは足りません。 一種職人芸的な、論理的思考に基づく文章構成が必須となります。 実はこんなところで、理系出身であることが役に立っています。 「論理的に物事を伝える文章を作成する」訓練は、工学部の卒論、修士論文、学会発表時の論文作成で担当教授から相当厳しく指導を受けているのです。

全く違う分野で何も使えるものはないかと思っていましたが、こういう意外なものを含め、人生無駄なものは何もないんだなぁと感慨深いですね。

税務調査でお困りの方、特に真面目にやっている自信があるのにいわれのない論点で責められている方。
関東や九州の案件でも、電話やファックス、メールのみで解決した実績もございます。地域に関係なく一度ご相談ください。